ストーリーを想起するために必要なこと
ストーリー
written by Fumiya Mizukawa.
まずはこの動画をご覧ください。
図形が動いているだけの無機質な動画ですが、多くの方がぼんやりとストーリーを想像したと思います。
人は、何の説明もない事象に対して、どのようにストーリーを構築するのでしょうか。今回、社内の3名に動画を視聴してもらい、各々が想像するストーリーを回答してもらいました。
質問内容:視聴して、どんなストーリーを想像しましたか?
Aさんの場合
転校生が新しいクラスに入ろうとしたら、それは自分が転入する予定のクラスじゃなくて、みんなに笑われ、先生に連れて行かれる。
Bさんの場合
五角形の人物はどちらかといえば、いじめられキャラなのでは?と五角形にネガティブな印象を受けました。三角は担任の先生で、あまり介入してはくれなさそう。そのあと通りかかった保健の先生が助け舟として担任の先生に一言断り、保健室で話を聞いてくれたのでは?と想像しました。
Cさんの場合
授業に出られなかった生徒が帰宅する話
回答結果から、3名とも登場する図形に対して、「学校」という状況や、「いじめられっ子」「おっちょこちょい」といった人物像を自由に設定していることがわかります。そして、設定した状況や人物像をもとに、動画上の出来事に対してなんらかの因果関係を見出していました。
ストーリーは、原因と結果を連続的につないでいくことで成立します。例えば、「主人公が助けた亀に竜宮城へ案内してもらう」という物語の場合、
亀がいじめられている(原因)→主人公が亀を助ける(結果)
主人公が亀を助ける(原因)→亀が御礼として竜宮城へ案内する(結果)
といったように因果が連続ですることでストーリーは進行します。この原因と結果を見出すためには、「状況」と「キャラクター」の設定が欠かせません。
また、3名には、動画の図形に対してセリフも入れてもらいました。セリフによって、3名それぞれが考えたストーリーが見えてきます。
Aさんの場合
動く五角形 五角形「〜〜〜〜(ここが今日から通う新しいクラスかぁ。緊張するなぁ。)」 何かを発言する◯ ◯「〜〜〜〜(お前は誰ぞ?!)」 ◯を見る△ 一斉に動く複数の○ △「〜〜〜〜(きみ、教室を間違えとるぞw)」 ◾️が出てくる ◾️「〜〜〜〜(お〜い、きみのクラスはそこと違うぞ〜)」 五角形「〜〜〜〜(あ、間違えました!すみません!)」 五角形に近寄る◾️ ◾️「〜〜〜〜(まったく、転校初日から仕方ないやつだな)」 五角形「〜〜〜〜(ぼく、おっちょこちょいなんですよね)」
Bさんの場合
動く五角形 五角形「遅刻だ!遅刻だ!先生いるかなぁ。。」 何かを発言する◯ ◯「あっ!のび太だ!また遅刻しているw」 ◯を見る△ 一斉に動く複数の○ △「はぁ。。また君か。。。」 ◾️が出てくる ◾️「あら?野比くん、泥だらけね。どうしたの?」 五角形「急いでいて転んでしまいました。」 五角形に近寄る◾️ ◾️「ひざを擦りむいているわ!保健室に行きましょう。○○先生よろしいですか?」 五角形「はい。。お願いします。。。」
Cさんの場合
動く五角形 五角形「授業今日は出れるかなあ」 何かを発言する◯ ◯「あ!あの子が来たよ〜!」 ◯を見る△ 一斉に動く複数の○ △「ほらほら。みんな授業中なんだから静かに」 ◾️が出てくる ◾️「どうしたの五角形」 五角形「やっぱり家に帰ろうかな…」 五角形に近寄る◾️ ◾️「… そうかい。では帰ろう」 五角形「うん。ごめんなさい」
図形が動くだけという限られた情報であっても、3名とも状況と人物像を定めることでセリフを作成しています。そして、セリフによって、3名それぞれが考える状況や人物をよりリアルに想像することができる気がします。
まとめ
ストーリーの因果関係を想像させるためには、「どんな状況か」「どんな人物か」を最低限受け手に伝える必要がありそうです。逆にいうと、「どんな状況か」「どんな人物か」さえ伝われば、ストーリーを想起させることは比較的容易になると言えるかもしれません。
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