視覚情報から引き起こされる時間感覚の変化

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written by Tetsuya Takahashi.

人間の感覚

体験を作り出すものは、各種の情報。
人間の感覚といえば、一般的には「五感」というのが知られていますが、人間が感じられるのは13種類ほどと考えられています。
対して、デジタルで伝達できる情報といえば、視覚情報(画像・映像)がメインで、それに付随するように聴覚情報(音)があります。
大掛かりなデバイスを使えば、重力や振動などといった、皮膚、筋肉、内臓などで感じられるような情報を与えられるかもしれませんが、今のところ一般的ではありません。

感覚のバグ

トリックアートと呼ばれるものがあります。
視機能のバグを利用して、見るものに不思議な感覚を与えるもので、よく知られているのは、同じ長さの線であるはずなのに長く見えたり短く見えたり、平行なハズの複数の線が斜めになって見えたり、同じ大きさの円が起きさが違って見えたりなどです。

これらは、アートのような作品として利用されているだけではなく、普段目にする情報を違和感なく見ていられるように補正するために、例えばフォントデザインなどで利用されていたりもします。

四角い文字より丸い文字のほうが少し大きく作られている

この感覚のバグは、視覚だけではなくその他の感覚でも引き起こされそうだということが想像がつきますが、あまり頻繁には取り上げられない気がするので、実験してみたというのが、今回のテーマです。

時間感覚のバグ

「同じ時間なのに、長く感じたり短く感じたりする。」
数秒単位のことから、数年のことまで日常的に感じることがあるであろうこの現象をオンライン上で再現できる方法で試してみました。

間違い探し
スロット

感じられる時間の長短には確かに差がある

時間の感じ方を変化させる要因についてはいろいろあるようだが、今回はもっとシンプルなところで検証をしてみました。(参考:https://academist-cf.com/journal/?p=6453)
同じ時間なのに長く感じるパターンと短く感じるパターンを2本の動画で比較してみるという狙いです。
間違い探しでは「追われる」という状況、スロットでは「待たされる」という状況を作り出して、比較してみました。

実際に作り、動画を観たところ「間違い探し」では短く、「スロット」では長く感じられたように思います。
モチベーションはともに前向きで「見つけてやる」「捕まえてやる」というところでありながら、追われるのか待つのかの違いが時間の感じ方に影響を与えたことがわかりました。

既にオンラインでは、サイトの読み込み時間が長くならないように推奨されていたり、コンテンツの待ち時間を飽きさせないための工夫がされていたりします。
また、世界観を伝えるコンテンツで、時間をしっかり取るような演出がされるなどというパターンもあります。
時間の感覚のコントロールをもっと追求することで、コンテンツの体験をより自然なものにするための要素として、さらに活用できる可能性があるのではないかと思います。

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